桃とペンギン、夏の午後

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刀ミュ「静かの海のパライソ」20210928感想

2021年9月28日、刀ミュパライソを観てきました。

追記で感想を書きます。

・ネタバレに配慮していない

・あらすじや説明を省いているいわゆる感想文

・長い(4000字超)

・けど、2部についての感想は数行

ということが大丈夫な方のみ進んでくださいね。

※2021.10.1 11:10一部修正しました。


 

第1部が終わってから、初日を観ていた友達に送った感想:つらい

でした。

冒頭が民衆の平和なシーンから虐げられて苦しむ姿、そして蜂起するというアンサンブル始まりで驚きました。あれはなかなか迫力ありましたね…。

そして、鶴丸天草四郎を浦島くんと日向くんと自分に割り振って、浦島くんが子どもたちを勧誘した時から既につらかった。だって母親を探してやるよって浦島くんが誘った子どもたち、そのせいで死んでしまう運命に連なることになるんですもん。もちろん日向くん鶴丸が誘った民衆も同じなんですけど、浦島くんは島原の史実を知らないからこそ、後で絶対自分を責めるだろうなって思って…。

浦島くんが誘わなくても、正史の天草四郎に誘われて、またはいきさつで、島原の乱に加わった人たちかもしれない。でも、歴史を守るために浦島くんがその業を負わなきゃいけないのか…と…もう半泣きでした。

自軍に加わらない人(しかも知り合い)を手にかけたり、お寺を焼いたりする場面もあり、暴徒化というか盲目的というか、虐げられた側であっても単なる被害者だけの側面を持っている訳ではない、ということが凝縮されていて考えさせられました。

そんな感じでつらさをずっと胸に抱えたまま観ていました。鶴丸が憎まれ役をずっと演じているのも、その言葉の強さ鋭さも聞いていてちょっとつらかった。

刀剣男士が時間遡行軍ではなくて、人間を斬るのも衝撃でした。今までそういう描写って、あってもピンポイントで、人々である兵士と戦って斬るっていうイメージがなくて。私は刀ミュを全作観ている訳でもなく観ていてもうろ覚えのものがたくさんあるので、あったのかもですけど。それにしても、今回時間遡行軍が出てくるの、1回か2回で、刀剣男士たち、ほとんど人間と戦ってるんですよ…。鶴丸が「じゃあ刀剣男士辞めるか?」て松井くんに詰め寄るところが最初でしたっけ。それで鶴丸が先陣切る訳ですけど、天草四郎って前線で戦ってたんですか?シンボル的なものでなく?そこの史実は分かりませんが、士気を高め指示を出すだけではなく、男士たちも人を斬らなければならなかったんですかね…。とはいえ人々を戦場に送り出し、自分たちは城で安穏としているのもそれはそれで気持ちの良いものではなかったでしょうけど…。

倶利伽羅さんは、みほとせを経た大倶利伽羅さんって感じでした。浦島くんに助言するところとか。あそこの鶴丸は何故大倶利伽羅さんの意図を敢えて曲げたんでしょうかね。浦島くんにも言葉でなく経験を、ということなんでしょうか…その割に、総攻撃を受ける時には浦島くん達を城から出していますが…個人的には現場にかち合わないようにしてくれる鶴丸の優しさが好きでした。あと、大倶利伽羅さんは随所で鶴丸を気遣っていて、みほとせの経験+信じてるし支えたいんだなーって情の深さを感じました。最後によろけた鶴丸を抱きとめて立ち直らせる(物理的に)ところも良かったですね。今回の大倶利伽羅さんは悟った感じでサポート役に徹していたように思います。悩み苦しむ姿も見たかったですけどね…。

鶴丸と伊豆守とが対話する場面。ここ、私、あんまり落ちてないんですよね。鶴丸が「何で『なで斬り』なんだい」と伊豆守に尋ね、伊豆守が「後悔のためだ」と答えるところ。伊豆守は、武力に頼った時点でそれを見逃すことはできず、同じことが起こらないようにするためになで斬りにする、というようなことを答えます。で、鶴丸が伊豆守もまた役割を果たしている、その意味では自分と同じ、というような納得をして帰っていきます。それまでも鶴丸は、武力を行使した時点でそれは誤りというか、最終的にその者たちが命を落としても仕方ないというか、そういうことを何度も言っていると思うんです。だからそこは同調したのかなと思うんですけど。でね。私も確かにそう思いますよ。武力を行使する人は、同じ武力を返されても文句は言えない。(覚悟がある暴力を正当化する意図ではなく、現実社会では暴力そのものが許されませんけどね。)。だから、他の方法をとるべきだ、って。でも、それって今の平和な時代に生きる私だから考えられることなんじゃないかな?と思うんです。生活する術を制限されて、生きるための食べ物も奪われて、生きるか死ぬかという状況で、武力以外の方法をとるべきだった?話合いでも持ち掛ければよかったんですか?そんなことが可能な時代でしたか?上の身分の人へは要望するだけで命がけだったんじゃないですか?そして、それをしたところで上の人が要望を聞いて改善してくれる時代でしたか?そんなことが可能なら、武力をとる前に解決してますよ。どうしようもないから武器をとったんでしょうよ。確かに彼らの中には戦って死ぬ覚悟はなかった者もいたでしょう。今より良い生活が送れるという淡い期待だけでついていった人たちもいたでしょう。でもそうするしかなかった状況を作り出したのは誰なんです?大本を正せば、伊豆守の上司でしょうよ!鶴丸も伊豆守も、そこを棚上げしているようにしか思えませんでした。

ただ、ここの伊豆守の「後悔」、観劇中は島原の乱の外にいる民衆に”後悔”させて、二度と武力で立ち上がらせないように、つまり見せしめという意味かなと思って上記のとおり腹が立ったんですけど、その後少し考えて、もしかしたら自身を含めて為政者側に”後悔”させるという意味もあったのかなとも思いました。自分たちの政の至らなさが、多くの人々を武力で蜂起させ、その者達を全員死に追いやらなければならなくなった、という。それなら少しは私の溜飲も下がりますが、そうだとすると伊豆守良い感じに描かれすぎてるな、とも思います(結局どっち!)。

浦島くんが仲間に入れた少年と相対した松井くんに「目を閉じるな!」と叫ぶ鶴丸は、たとえ見知った相手であっても、役割を果たさなくてはいけない、ということを言いたかったのかな…。

からの、その少年に天草四郎から拝借したロザリオを首にかけるところ。伏線回収というかそういうことかー!と上手くできてるなーと脚本に関心しました。そして、示し合わせたかのように動く大倶利伽羅さんに、成長したんだろうなと思う一方、ここまで冷静に鶴丸のサポートができることを、少しさみしく思ってしまいました。いや心中穏やかではないのかもしれないけどさ…。

そして、鶴丸が海に向かって叫ぶシーン。ここに居合わせるのが大倶利伽羅さんだけっていうの、良いですね。明らかに三日月に向かって言っている、と思えたのは、心覚を観たからだと思います。「3万7000人!救って見せろよ!!!」最後に鶴丸の本音が聞けて良かった~泣いたし安心しました。民衆じゃなくて、1人1人が集まった3万7000人。そう考えられるのは鶴丸の視点なんだな、と思うし、鶴丸はずっと自分に言い聞かせるように、周りに厳しい言葉を吐き、きつい態度をとっていたんだろうな、とも、今思い返すとそう感じます。もしかしたら今は美化して思えてるだけでまた観たら違う感覚になるのかもしれないけど。前述の武力を行使した時点で誤り、という態度も、この戦いはばかげている、というような軽んじるかに見える発言も、本心も含まれているところもあるだろうけど、でも多分、鶴丸だって3万7000人が死んでもいいとは思ってなくて、ただ、歴史を守るということが彼の使命だったから、そうしたんだな、と。つらいなー。審神者って業が深いことを神様にさせていますね。

本丸に戻って来て、日向くんと浦島くんが漬けた梅干しを食べるシーン。梅干し食べるために手袋外す大倶利伽羅さん育ちが良いな!と思ってわくわくしました。みんながしょっぱいと言った梅干しを美味しくいただいたのは、味覚と体が心配ですが…^^

からの、彼らの後ろ側で笑って話している人々の姿。それも、島原の乱で敵対しあった民衆たちと幕府の侍たちとが、隣り合って座って談笑している。これがパライソじゃん…!て最後の最後にも泣かされました。男士たちは自然とはけて、舞台上最後に残るのが彼らってのも印象深いです。本作は民衆で始まって民衆で終わる…。

ここからは観終わって家で考えたことなんですけど、鶴丸が考えた編成ということでしたが、もしかしたら、鶴丸は、行った先で天草四郎が既に時間遡行軍により倒されていて、成り代わって島原の乱を正しく導かなきゃいけなくなる可能性も考えていたのかもしれないと思いました。そのために、天草四郎の代役を務められそうな見た目の年頃の2振りを選んだのかなって。まぁ見た目だけなら他にも該当する刀はいそうですが、その中でも豊臣に縁がある日向くん、人好きのする、かつ、島原の乱を詳しく知らないだろう浦島くん。日向くんについては、秀頼の末裔、という触れ込みが使われていましたが、現在に伝わる島原の乱の言説の中にも実際そういう話があるようです(ネットで調べた限り。)。浦島くんについては、島原の乱を知らないとなると江戸時代に打たれた刀であることが必要ですよね。それに当てはまる男士って新撰組刀、虎徹、新々刀、土佐組…て感じになるんでしょうか(ニュアンスでしゃべってますので他にもいたらすみません。)。その面子から考えると、人を集めるという点においては確かに浦島くんが適任な気がします。そしてその後、史実を知りうろたえても、ある程度は落ち着いて任務を進めれるだろうという、理解力の良さも浦島くんにはあると思います。蜂須賀にもそねさんにも激怒されそうな刀選ですけどね…鶴丸の読みの深さおそろしい。松井くんは島原の乱に縁があるし、向き合うチャンスが必要と考えたのかな。その保護者としての豊前くん。そしてそこに大倶利伽羅さんを自分で選んでいるところが、鶴丸の甘えなのかなーと思うとなかなかオツだと思います。伊達組の中でも光忠でなく貞ちゃんでなく大倶利伽羅さん。もちろんみほとせの経験があるからってのはあるでしょうけどね。

 

長くなってしまったので2部については簡単に。

・ミュ本丸の審神者からペンラをつけるタイミングについて説明される。

・男士たちが歌う1曲目おしゃれな感じ!かっこいい。

・大倶利伽羅さんと豊前くんの曲は客席が真っ赤だけど「Yellow sac spider」。

・↑毒グモの名前らしいんですけど…

・パライソの人間の皆さんが歌う「戦うモノの鎮魂歌」は選曲がえぐい。

 

以上です!もう1回劇場で観る機会があるので、そのときはまた違う気持ちになるかもしれません。とりあえず今のところはこれにて。